新卒就活は夏から?

今朝、パソコンをたちあげてYahoo!をみたら、トピックスに「新卒就活「4年夏から」徹底へ」という記事がでていました。

元記事はコチラ


『内定を得られない学生はそれ以降も就職活動を続け就活に要する時間が大学生活の半数以上を占めるケースも少なくない。
長期化する就活期間に大学側は「学業がおろそかになる」と強い懸念を示している。
企業側も「優秀な学生とそうでない学生とが二極化している」(大手メーカー)と学習経験が十分でない学生が増えていると指摘している。』


という理由からだそうですが、確かに就活の長期化は深刻な問題。
私のゼミでもちらほらと内定者が出始めましたが、今年は本当に厳しいようです。


3年生も、特に指導はしていなかったのに、半数以上が夏休み中にインターンをやっていました。
「先輩たちの苦闘をみて、何かしておかないと不安だったから」というのがその理由。
なかには「就活のエピソードをつくろうと思って自転車で小田原までいった」という学生もいたほど。


なので「新卒就活は4年夏から」が本当に実現すれば、少なくとも3年生は就活に追われなくてもすみます。
でも、実際のところ、3年生の就活はなくならないでしょう。
なぜなら、かれらを就活へと突き動かしているのは「不安」であるからです。
それに企業のほうも、よほど厳しく取り締まらない限り、いい人材を確保するためになつかしの「青田刈り」をやるでしょうから、結局はなし崩し的に就活の前倒しがなされるのではないかと思います。


こうなると予想されるのは、4年夏になった瞬間に内定を得て、その後の大学生活を謳歌する学生と、4年夏以降に就活が本格化し、卒論を書く時間すら確保できず、下手すると卒業すらできないという学生との二極化です。
結局のところ「優秀な学生とそうでない学生とが二極化している」という状況は改善されないでしょう。


じゃあどうすればいいのか、と言われると特に妙案はないのですが、とりいそぎ言えることは、就活をもっとシンプルにすること。
内定を得るまでのステップがあまりに長く、しかも内定を得られなければその時間は(いい経験をした、という成果はあるにせよ)無駄になってしまいます。
その繰り返しが就活生の心と体を蝕んでいるのです。
就活を4年夏からにするのであれば、内定までの道のりの短期化も同時に実現されなければ、あまり意味がないのではないかと思います。


その意味で、記事の後半にある

『日本貿易会は平成24年入社の新卒から採用試験の時期を遅らせ、選考開始時期も見直す方針を決定。
経団連にも雇用委員会の新卒採用ワーキンググループを通じて採用活動を遅らせるよう提案した。』

という部分こそが重要なわけで、そこが徹底されなければ実質的な「就活の短期間化」は実現しないでしょう。


あと、「新卒就活」だけでなく「既卒の就活」をどうするかも問題。
新卒の就活を夏からにし、既卒の就活はそれ以前からということであれば、今度は既卒のほうが有利という状況にもなりかねません。
かといって既卒の就活生にも「夏から」を適用すれば、じゃあかれらはそれまで何をしていればいいのだということになります。


このように問題は多々あるのですが、とはいえ財界がこの就活の問題に関心を払ってくれていることだけは、いい傾向だなと思います。
なかなか妙案は出てきませんが、少しでも学生の就職に対する不安を払拭する方向に進んでくれればいいですね、ほんとに。