公務員の怠慢?

このところの「消えた高齢者」問題には心を痛めております。

が、そこから派生して浮上してきた、戸籍が抹消されていなかったために江戸時代生まれの人が戸籍上生存していた問題に対して、マスコミが「公務員の怠慢だ」と批判していることに対しては、疑問があります。


たしかに戸籍の管理をするのは行政の仕事なので、やっていなかったこと自体は責められるべきでしょう。

しかし、そのことをイコール「怠慢」と断じていいのかと。
戸籍から削除されていなかったことで、市民に何か不利益があるでしょうか?

年金などの業務については、住民基本台帳ネットワークの本人情報に基づいてなされているのだから、戸籍上生存していたからといって、年金の不正受給のような問題が発生するわけではない。

つまり、行政にとって戸籍抹消の業務は不要不急の業務だといえるでしょう。

ただでさえ公務員の給料や人数を減らせ減らせと言われている中、不要不急の業務をやる余裕なんて今の公務員のどこにあるのかと。


まあたぶん、やればたいして時間のかからない業務ではないかなとは思います。
でもこういう業務って、精神的な余裕がないとできないと思うんですよね。
むしろ、こうやって問題化されたことで、戸籍抹消業務に「必要性」が生まれたので、それをきっかけに戸籍の整理がなされればそれでいいんじゃないの?と思うわけです。


それを怠慢だ怠慢だとあげつらうのは、公務員という叩きやすいところを叩いて欲求不満を解消しているだけのような感じがして不愉快ですね。

公務員を批判するのであれば、感覚的に叩くのではなく、行政のこのような業務がこのような理由で不要である、無駄であると、公文書なりなんなりの証拠を集めて批判するのでなければ、行政改革なんてできるわけがないのです。

感覚的に公務員を叩いても、市民にとっていいことなんて何もないですよ。

もちろん公務員にも批判されるべきところはあるとは思いますが、いまのような状況は「安定していて恵まれている公務員が、不安定なおれたちの税金でのうのうと暮らしてやがる」という、広く通底している不満が感情的にぶつけられているだけのような気がしてなりません。

その不満を建設的な力にかえて、社会を変えていく。
その大きなサポートとなるはずのマスコミが、ただただ不満を煽るだけで終わってしまっているのは、とても残念なことだと思います。