県民大会、海兵隊、沖縄

報告がすっかり遅くなってしまいましたが、4月23日〜26日にかけて、沖縄にいってきました。
25日に9万人を集めた「米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と、県内移設に反対し国外・県外移設を求める県民大会」への参加を軸に、辺野古での調査などを進めるためです。


まずは大会の様子を。

革マル」って自称してるんですね(苦笑)


写真をみてもおわかりのように、抜けるような青空の下、たくさんの人たちが会場に集まっていました。
渋滞も凄まじかったようで、会場にかけつけることができなかった方たちもたくさんいたようです。
10キロもの渋滞が発生していたと、翌日の新聞にはありました。
帰りの渋滞も大変なもので、駐車場から車を出すのに1時間、そこから58号線にでるのに1時間といった具合。


これだけの県民が集まって、これ以上沖縄には基地はいらないのだという意思を示したにも関わらず、政府は杭打ち桟橋方式での基地建設を辺野古で計画している様子。
この方式だと、おそらく沖縄の土建業者では技術的に対応できないため、本土の大手ゼネコンが仕事をもっていくことになるでしょうから、おそらく地元土建業界も納得しないはず。
4日に鳩山首相が訪沖するようですが、県も名護市も受け入れを容認することはおそらくないでしょう。


こうなると5月末での決着は困難となり、鳩山首相の責任問題につながるわけですが、この「五月末決着ならず=鳩山辞任」という論調に対する批判を、沖縄で会った何人かの人たちから聞きました。
普天間基地の撤去、移設という問題を鳩山首相の責任問題につなげることで、「普天間基地移設問題」ひいては「在沖米軍基地問題」自体が後景にさがってしまい、結果として沖縄の基地に関する議論がなされないからです。


「県外」の移設先としてあがった、徳之島をはじめとする自治体はすべて、受け入れに反対の意思を示しています。
そんなに来てほしくない施設なのであれば、その必要性(ないしは公共性)についての議論がおきてしかるべきなのに、まったくそんな気配はない。
一部で孫崎亨さんあたりから「海兵隊は日本の安全保障について本当に必要なのか」という議論が起きているくらい。
だいたい今回の県民大会についても、こんなに沖縄の人たちが反対してますよという程度の捉え方しかされていない。
なんで何度も何度も沖縄の人たちは「県民大会」を開催しなければならないのか、そこにこそ問題があるはずなのに。


ところで、今日、渋谷のアップリンクで、海兵隊の新兵の訓練施設を取材したドキュメンタリー、「ONE SHOT ONE KILL 兵士になるということ」(藤本幸久監督)を観てきました。
この映画、要するに「海兵隊員のつくりかた」です。
どうやってつくられるか?


それは、洗脳と、考える暇を与えないこと。


訓練で、上官が戦闘の基礎について怒鳴り散らしながら早口にまくしたてる。
新兵たちはイエス・サー、ノー・サーと、何度も何度も叫ぶ。
訓練とは何も関係ないような、日常の行動をさせるにあたって、教官が新兵に「ONE SHOT」(一撃)「 ONE KILL」(一殺)と叫ばせる・・・


そんなことを繰り返し繰り返し行ううちに、いつしか若者たちは、立派な海兵隊員になっていく。
そういう訓練を経てきた海兵隊員が、沖縄にはたくさんいるということが持つ意味について、否応なく向き合わされました。


海兵隊ということでいえば、大ヒット映画「アバター」もまた、海兵隊の強さというものを―フィクションであるにもかかわらず―リアルに実感させられた映画です。
映画に出てくる海兵隊の将校がとてつもなく強い。そして怖い。
それは、肉体的な強さだけからくるものではなく、むしろ精神的な面における「絶対に自分は負けない!」という圧倒的なまでの強靱さ、残虐さに由来する強さ、怖さ。


こういう映画を通してでも、沖縄の現状へと思いを致すことができます。
その想像力が、日本全体で欠けていることが、沖縄から基地がなくならない最大の理由なのではないでしょうか。