山種美術館

土曜日の午前中、10月に広尾に移転した山種美術館にいってきました。
近現代の日本画を多数コレクションしている山種美術館ですが、旧館のときには足を運ぶ機会がなく、新館がはじめて。


新館の開館記念特別展として、コレクションの目玉の1つである「炎舞」を描いた画家、速水御舟が特集されているので、「炎舞」目当てに足を運びました。


恵比寿で降りて、急に降り出した雨の中、駒沢通りの坂をのぼりつづけること約10分。
右手に見えてきた新館は、新しすぎない、まわりと調和した建物に仕上がっていました。
日本画専門の美術館として、いい感じです。


が、なぜか受付のおばさんが無愛想。
むしろ怖い。
そういうのってテンションさがります。


気を取り直して展示室へ。

いちばんのお目当てであった「炎舞」は、炎のやわらかくも力強い描写、立ち上る煙の渦、炎に魅入られたかのように集まってくる蛾の鬼気迫る美が際立つ名画でした。
惜しむらくはガラスの写り込みが激しく、鑑賞が妨げられてしまったこと。
炎を強調するためもあって絵自体が黒ベースで、さらにそれにあわせて壁も黒く塗られていたため、どうしたって写り込みは目立ってしまいます。
だからこそ、照明をもう少し工夫してもらいたいものです。


他の作品はほとんどが初見でしたが、実に多様。
同じ画家の作品とは思えないくらいに振れ幅が大きい。


御舟という人は、たぶん、ものすごくデッサン力の高い、絵の上手な方だったのだろうと思います。
その器用さは、時に彼を苦しめてもいたのだとも思います。
だからこそいろんな画風にトライし、貪欲に吸収していく。


速水御舟は、はやくから才能を評価されていた画家でした。
しかし、その地位に甘んじることなく、常に新しい表現を、自分の感ずる「美」を表現するための手法を求めていた。
その真摯な姿勢から生み出された数々の作品が、今回の特別展では製作年代による時系列で展示されています。
40歳の若さで腸チフスに倒れた稀代の画家の無念が、伝わってくるような気がします。


あと、特筆すべきはミュージアムショップの充実っぷり。
センスいいです、ここのショップ。
散財しちゃいました。


次の特集は12月5日から「東山魁夷と昭和の日本画」です。
確実にいきます。
そして確実に、ミュージアムショップで散財しそうです(^^;)