彰往考来

水戸出張より帰ってきました。


今回は藩校であった弘道館水戸城趾、茨城県近代美術館(冨田溪仙展)、水戸芸術館(「現代美術も楽勝よ。」展)、偕楽園、徳川博物館にいってきました(何しにいってんだ)。


そのなかからいくつか。

■冨田溪仙展
名護のイルカ(ヒートゥ)漁や羽地の風景を描いた掛け軸もよかったのですが、衝撃が大きかったのは「蒙古襲来」図。
馬の鬼気迫る顔つき、馬にまたがる武者の刀を振るう腕、逃げようとする若い女と媼、それらが一枚の、それほど大きくはないキャンバスに渾然一体となって描かれている。
他の作品とは明らかに筆致の異なる作品でした。
これ、ポストカードにしてくれてたら絶対買ったんだけどな。


あと明治の人間とは思えないほどのバタ臭い顔も衝撃。
日本人とは思えん。

偕楽園
広い!


好文亭という庵のような建物があり、借景の庭もすばらしかったのですが、ここは襖絵がいい。
特に薄暗くしてある部屋に行灯を置き、その黄色い灯りに赤く照らされた紅葉の襖絵がすごい。
やはり襖絵はガラスケース越しに平面でみるものではないですね。
壁にあわせて90度に置かれ、部屋の真ん中からの灯りに照らされることによって現れてくる奥行き、立体感がつくりだす、ある種の「圧力」が、襖絵の真骨頂なのかなと。


■徳川博物館
15代将軍徳川慶喜がまだ将軍であった頃のカラー写真が近年見つかったらしく(撮ったのはイギリス人)、パネルになって飾ってありました。
カラーになると一気にリアリティが増して、なんか隣にいてもおかしくないような気になります。
まあ直垂を着て杓を手に持った人が隣にいたらおかしいんだけど。


なお、徳川博物館は正式には「彰考館 徳川博物館」といいます。
彰考館とは「黄門様」でおなじみの徳川光圀が設けた「大日本史」の編纂所のことなのですが、その名の由来となったのが、タイトルにつけた「彰往考来(しょうおうこうらい)」という、易経にでてくる言葉。

「過去のことを明らかにして、将来のことを推測する」の意。

「温故知新」と似ていますが、「彰往考来」からは未来を拓いていくという勢いが感じられます。
今の気分としては、なんとなく「彰往考来」がしっくりきますね。



ううう、来週から講義がはじまる。。。