田舎暮らしの本

田舎暮らしの本 新宿駅広告

という雑誌が宝島社から出ているようである。
読んだことはないし、田舎暮らしをしたいとも、正直思わない。
宮崎県宮崎市という「田舎の市街地」という中途半端な田舎=中途半端な都会で生まれ育った自分には、「田舎暮らし」が想定しているような田舎への強烈なまでの郷愁は湧きにくいということなのかもしれない。


そんな自分も、この広告の写真にだけはついつい目を奪われてしまう。
この広告は、JR新宿駅から私鉄の京王線小田急にいく途中にある。
いつも新宿でJRから京王線に乗り換えて通勤しているので、しょっちゅう目にすることになるのだが、なんていうかこう、奇跡的なまでに「田舎暮らし」の魅力が凝縮された写真なのである。


大地を踏みしめ、まっすぐ前を向いて立つお父さん。
お父さんの前にたって、ちょっと緊張気味な笑顔の女の子。
ちょっとはにかんでいるお姉ちゃんたち。
明るく元気そうなお母さん。
まっかにそまった女の子たちのほっぺ。


田舎で農業やれば、こんな素敵な笑顔にあふれた家族になるんだ。
そんな幻想を抱かせてくれるすばらしい写真。


こんな写真を、早朝から京王線小田急線で満員電車に揺られ、やっとこさ新宿につき、ここでも乗客からは解放されず、みんなでぞろぞろと階段をのぼり、改札をでて、今度は階段をおりて混雑した連絡通路を歩き、またぞろ階段をのぼってさあ次はJRに乗り換えようとしている労働者のみなさまがみたら、「田舎暮らししてーなー」と思ってもおかしくない。
で、つい雑誌を買ってしまう人だってでてくるだろう。


実にうまいところに広告を出したものである。


さて、この日記を書くにあたり、ネットで情報をあさっていたところ、この写真にうつっているご家族のサイトにぶつかりました(写真もそのサイトから拝借)


これがまた立派なサイトなんです。
立派すぎるくらい立派。
センスあるなーって感じ。

この立派なサイトをみて、「けっこううまくやってんじゃん、田舎暮らしを売りにして」なんて思う人もけっこういるんじゃなかろうか。
あの写真から想像される「田舎暮らし」のイメージとはちょっと違うから。


でも、それが田舎暮らしの現実なんだと思う。
ただひたすらに田舎で有機栽培やっていたって、買ってくれる人がいなければ食べていけるはずがない。
そんな野菜を買ってくれそうな人が多く住んでいるのは都会だ。
その都会の人たちとかれらとをつなぐのがwebサイトなのである。


田舎暮らしの理想と現実と生き延びる術とがすべてつまった農家浦田一家に幸あらんことを!