『火車』再読
僕は小説を読むのが遅い。
にもかかわらず、内容についてはすぐ忘れてしまう。
後に残るのは、読んだという記憶と、読後感。
10月に東野圭吾さんの『白夜行』を読み終えたとき、
読後感が宮部みゆきさんの『火車』に似ているなと思った。
それ以来、ずっと『火車』のことが気になっていた折りも折り、
非常勤先の講師室にある「リサイクルブックコーナー」と題した、
要するにいらない本置き場に『火車』がおいてあった。
博論おわったら読もうと思って鞄に入れて持ち帰り、
そして昨日、読み終えた。
クレジットカードの問題をあつかった小説だ、ということと、
最後のシーンだけしか覚えていなかったので、
初めて読んだかのように楽しめた(1粒で2度おいしい)。
そして思った。
やっぱり読後感が似ている。
2つの小説に共通しているのは、
・物語の主役ともいうべき女性が、一人称で描かれている箇所がほとんどないこと(『火車』にいたっては一カ所もない)
・その女性が、圧倒的な孤独を抱えているということ。
だから、内容はまったくちがっても、読後感は似ているのだと思う。
そう思いながら作者あとがきを読んでいたら、謝辞のところにこんな一文が。
「大阪弁の会話について細かくアドバイスして下さいました東野圭吾さん」
こんなつながりをみつけるのも、再読の楽しみですね。
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