白夜行

先週より後期が始まりました。最近は秋学期なんていうところもありますね。

後期の非常勤先は茅ヶ崎にあるB大学。昨年度に引き続いての講義です。
学生の数もほどほどだし、理解力も高く、基本的に真面目な学生がそろっているので、教える側としてはなかなかにやりがいのある大学です。

ただ問題は・・・



遠い orz


茅ヶ崎駅からさらにバスに20〜30分乗らなければならないのが辛い。

しかも週2日なんです。

なので、行き帰りは読書をして過ごしています。
最近はなかなか小説を読む機会がなかったので、今回は思い切って800ページ超の大作を読んでみました。

東野圭吾白夜行』です。

友人が激賞していたのを思い出して、文庫版を購入。



で、2往復+2スタバで読了(^^;)


読書スピードがあまり速くない自分としては、かなりのスピードです。
だっておもしろいんですもん。
おもしろいというより、すごい小説でした。


主人公は男女2人。
かれらが小学生の頃からおそらくは30代くらいまでが描かれているのですが、主人公であるにもかかわらず、かれらの視点で書かれたところは全くない。
かれらの行動や発した言葉は描かれているけれど、かれらの心情は全く書かれていない。
そもそも、かれらの行動自体が描かれていないところも多い。



だけど、みえるんですよ。かれらがいったい何をされ、何をし、何を思ったかが。


この小説にはたくさんの登場人物がでてきますが、かれらはすべて、主人公の2人とどこかで絡んでいます。
小説は、その登場人物たちの視点からのみ描かれています。
それだけで、主人公の2人が、リアルに迫ってくるんです。

こういう感覚にさせてくれたのは、宮部みゆきの『火車』以来ですね。



そして、主人公の1人である雪穂。彼女の孤独がすさまじい。
男性の方の主人公である亮司もたいへんな孤独を抱えているのですが、雪穂の孤独はその比ではない。
その孤独が、雪穂の心情が全く描かれていないのに、びしびし迫ってくるんです。

なんという筆力!

ガリレオシリーズさえ読んでないんですが、他の作品も読んでみたくなりました。


ほんとはそれどころじゃないんですけどね・・・