あの鐘を鳴らしたのは私

hirokuma2008-01-21

土曜、日曜と全国各地で実施されたセンター試験。所属大学が会場だったので、自分も初日の土曜日、手伝ってきました。

センター試験を手伝うのはこれで三回目で、これまでは試験会場内での監督員の仕事でしたが、今回はちょっと珍しい仕事。

試験の開始と終了を告げるチャイムがありますよね。普通にはスピーカーをつかってやるみたいですが、当校では諸般の事情より、スピーカーではなく、手動で鐘を鳴らすのです。

その名も「振鈴(しんれい)係」

「振鈴」という言葉には「係」より「役」のほうがふさわしい感じがするので、心の中では「振鈴役」といっていたのですが、ともかくその振鈴役を仰せつかりまして候。

それでは振鈴役の役目についてご紹介させていただきます。

総勢6名による振鈴役は、試験開始5分前に、机の上に並んで置かれている、歴代の振鈴役の汗と涙のしみこんだ鐘の前に集まります。

右手で持ち手を握って鐘を持ち上げ、鐘のなかにぶら下がっている柄の先にある「玉」を左手でしっかと握り、胸の前に確保し、そのまま厳かにそれぞれの持ち場へと向かいます。

なかでも、「基準振鈴役」をつとめる者には、たいへんなるプレッシャーがかかります。その者は、5から始まるカウントダウンののちに赤旗が振り下ろされたのを確認すると同時に、大きく腕を振り、鐘の音を響かせねばならないからです。

受験生と振鈴役の生み出す緊張感に包まれた校舎に訪れていた静寂を打ち破るその鐘の音は、階段をつたって上の階にまで届きます。その音にあわせて他の振鈴役も、緊張から解き放たれた腕を激しく振り、試験の開始を告げるのです。さあ、試験の始まりだ。

余韻ののこる中、再び「玉」を握り締め、振鈴役たちは本部にもどり、おごそかに鐘をおきます。その後は伝達役(連絡係)として再び持ち場にもどり、試験会場で生じた様々な問題を本部に伝えるべく、ひたすら待機するのです。

そして終了5分前には再び机の前にあつまり、試験の終わりを告げにいく。このサイクルを合計5回、繰り返してまいりました。

私の持ち場は4階。最上階です。4階とはいえ、各フロアに大教室ばかりがそろう校舎なので、実質的には8階建てに相当します。

けっこう、キツいです。持ち場についたときにははぁはぁいってます。

しかも伝令役の仕事がはいると、急いで上り下りしなければならず、かなりの運動になります。

それは、最後の教科のときのこと。

教室内でのいくつかのトラブルのため、伝令役として3往復をつとめたあとの、持ち場に向かう階段を上っている途中で、あろうことか私、躓いてしまったのです。

絶対に鐘を落としてはならない、そう思った私は、持ち手をつかんだ右手、「玉」を握った左手をぎゅっと握り締めたまま、鐘を階段のへりにおしつけ・・・

「ガッ」

・・・なんとか難を逃れました。

「○○大学でトラブル、終了前に鐘がなって再試験」の新聞見出しが頭をよぎりましたよ、ほんとに。

当大学では、初日、二日目、ともにトラブルもなく、無事にセンター試験を終えることができました。

その成功の影に、身を挺して事故を防いだ私の奮闘があったことを知る者は、6名の振鈴役のほかには誰もいません。




とりあえず、足腰鍛えますw