【備忘録】自衛隊動員の意義は?なぜ日テレ?

見逃していたが、5月9日、日テレのニュースで、現在辺野古沖で進められようとしている環境調査に自衛隊を動員するとの報道がなされたようだ。

沖縄・普天間基地の移設問題で、政府は移設先の沖縄・名護市辺野古の海域で行う環境調査に、海上自衛隊を動員する方針を固めた。
 政府は、今週中にもサンゴやジュゴンの生態を調べるため、海底に調査機材を設置するが、日米同盟重視の観点から、移設計画の遅れは許されないとして、地元反対派の抗議行動を阻止するため、民間人ではなく、自衛隊員の動員を決めた。

環境調査といえば聞こえはいいが、要するに基地建設に向けた事前調査、現況調査なのであって、それは「日米同盟重視の観点から」という言葉からも明らか。
日米同盟を重視する=普天間基地よりも新しくてもっと便利につかえる基地を辺野古につくるということだ。

当然、この環境調査に対しては、反対運動の方々が、「基地建設の前段階である」「方法書ができる前の事前調査は、環境アセスメントの趣旨に反する」といった理由で反対行動を行っている。

一方、辺野古では5月1日に行政委員会が実施され、「生活補償や地域振興策の推進を図るため「代替施設等対策特別委員会」の新設を決め、委員8人を選任」している。

振興策推進で特別委を新設 辺野古区行政委が決定
 【名護】米軍普天間飛行場代替施設の建設が予定されている名護市辺野古区で1日、区の最高意思決定機関である区行政委員会(宮城利正委員長、18人)が開かれた。
 その中で同区などが求めている生活補償や地域振興策の推進を図るため「代替施設等対策特別委員会」の新設を決め、委員8人を選任した。今後、互選で委員長らを決めた上で、振興策などの実現に向け政府に要請していく考え。
 同区の大城康昌区長は4月29日の区民総会で、1999年に代替施設のヘリポート陸上案と埋め立て案に反対した行政委の決議を撤回するよう提案。委員らも「区長の方針を支持する」などとして、区長と歩調を合わせる意向を示している。近く区長の提案について行政委員会として正式に協議する方針。(琉球新報 5月3日)

自衛隊の動員に関する法的根拠としては、識者の意見を総合すると、どうやら自衛隊法の81条2項「警護出動」や、82条の「警備行動」がつかわれそうだ。


とはいえ、このニュースは日テレのみでしか流されていない。ということは、政府・防衛省からのリークである可能性が限りなく高い。

でもなぜ、沖縄では放送されていない日テレにリークし、報道させたのだろうか?

自衛隊の動員=公的な性格を濃くする」という等式がなりたつとすれば、日本人全体に対して、沖縄に基地を集中させることが日米同盟にとって重要であるのだという政府の見解を強く印象づけるという意図があったといえるかもしれない。

しかしなぜ沖縄で放送されていない日テレだったのかという謎は残る。自衛隊に対する反感の強い沖縄を、あまり刺激したくなかったということか?その可能性もあるが、「そうだ」と言い切れるほど強い根拠とはいえない。

自衛隊動員の意義についても考えてみる必要がある。

敢えて自衛隊を動員することの意義。自衛隊を出すことで、政府が本気であることを印象づける。だれに?反対派に?反対派にそんなことをしても、火に油を注ぐだけだ。注がれて燃え上がったサヨク的言説の炎によって地域住民とのギャップがさらに広がるかもしれないが、そんなことまでせずとも十分にギャップは広がっている。

ということはやはり、アメリカに対する本気度のアピールなのだろう。「日米同盟重視の観点から」とわざわざ言わせてるし。ついでに、自衛隊辺野古の新基地をつかいますよというアピールも混ざってるかもしれない。

あるいは、アメリカとの交渉におけるカードを防衛省自らの手で手に入れたいという思惑があるのかもしれない。これは考え過ぎかな。