ナイスタイミング

2007年4月12日。


この日、2つの大きな法案が可決された。


まず夕方に国民投票法案。衆議院憲法調査特別委員会で、自民・公明の賛成多数で可決された。翌4月13日には衆議院本会議で可決され、参議院に送られている。

そして夜に米軍再編推進法案。衆院安全保障委員会で、自民、公明の与党などの賛成多数で可決された。こちらも13日には衆議院本会議で可決され、参議院に送られている。

国民投票法案は、憲法の条文を変える際に、国民投票によって是非を伺うための手続きやルールについての法案。国民の大事な大事な憲法なんだから、国民に是非を問うのは当然である、という声もきこえてきそうだが、この法案には大きな問題点がある。
「有効投票総数の過半数の賛成で憲法改正案は成立」するにも関わらず、「最低投票率制度は設けない」。
つまり、たとえば有効投票総数が有権者の5割でしかなかった場合、全有権者の25%強の得票で憲法が改正されてしまうのである。
「9条」を守れ、を旗印に、革新系の政党や市民運動は猛反発しているが、9条云々はおいといたとしても、法治国家としてひじょうにまずい状況であると思う。

米軍再編推進法案は、ようするに米軍の再編に協力してくれる自治体にどうやってお金をばらまくのか、そのばらまき方についての法案。「再編関連特定周辺市町村」に指定された自治体に対して、(1)再編計画受け入れ(2)環境影響評価の着手(3)施設整備の着工(4)工事完了・運用開始−の4段階で交付金が上積みされていく。
米軍基地という迷惑施設を受け入れるのだから、その負担に対しては応分の補償がなされなければならない。しかし、こうした露骨な規定は、「これだけ金をばらまくのだから、受け入れるのは当然だ」という、ヤミ金業者の「貸した金かえせよ」的論理を正当化してしまう。

特に普天間基地移設問題の場合、防衛施設庁が4月10日に、「米軍再編の管轄にはいるから」という理由で、07年度の名護市へのSACO交付金を計上しなかったので、名護市は6億3000万円を失ってしまった。これでは、米軍再編推進法案に沿って米軍再編に協力する=基地を受け入れるしか、名護市は現状を維持することができない。合法的な買収である。


2007年4月12日。


この日、スポーツ界で大きなニュースがあった。


日本時間12日午前、松坂大輔投手がイチロー選手とメジャーで初対決。

朝のワイドショー、昼の情報番組、夜のニュース、すべてで松坂vsイチローが特集されていた。

国民投票法案の可決も、米軍再編推進法案の可決も、ほとんど報道されていなかったように思う。



なんということでしょう!



ほんとにやばい国になってきたな。