an inconvenient truth

今週の木曜から講義がはじまる。教えるのは環境社会学。といっても、実質的には環境問題の授業のようなもの。
環境問題については専門とはいえないところもあるが、教えるのだからそうは言ってられない。

で、講義が始まる前に是非ともみておかねばと思っていた映画、「不都合な真実」六本木ヒルズで観てきた。

元米副大統領で、民主党の大統領候補でもあったアル・ゴアが、地球温暖化について語るこの映画は、今年度のアカデミーで、最優秀長編ドキュメンタリー賞を獲得している。

ゴア氏は、地球温暖化は確実に進んでいるということ、その原因は人類が大量に排出している二酸化炭素にあるということを、科学的なデータと衝撃的な映像をふんだんに用いながら、魅力的な語り口で丁寧に説明していた。

地球温暖化が進んでおり、その原因が二酸化炭素にあるということは、別段驚くべき事実の発見ではない。少しでも環境問題に関心のある人であれば、誰でも知っていることだ。

しかし、実はこの意見には反論も多かった。曰く、地球は寒冷期と温暖期を繰り返しているのだからいずれまた冷える、曰く、二酸化炭素よりも火山活動によって排出されるメタンガスの方が温暖化を推し進めている、曰く・・・

こうした反論を、具体的な数字を挙げながら、ユーモアを交えつつ明確に否定していくゴア氏の語りをみるにつけ、アメリカ国民の犯した罪の重さを思わざるを得なかった。

ブッシュを当選させてしまったという罪を、である。

ゴア氏が大統領に当選していたとしても、アメリカが地球環境問題に積極的になっていたかどうかはわからない。ゴア氏は、大統領になれなかったからこそ、地球温暖化問題の解決にむけた活動を、積極的にすることができたのだろう。

それでもやはり、ゴア氏が当選していれば、いまよりは絶対にマシだと思う。

なぜなら、ゴア氏はブッシュよりも何十倍も頭がいいからだ。

頭がいい人がよい政治家であるといいたいのではない。頭が良ければ、側近の意見に言いなりになるようなことはないだろうから、ゴア氏のほうがブッシュよりも絶対にマシなのだ。ゴア‘大統領’は、石油産業と軍需産業の代弁者の言いなりには、妥協することはあったとしても、決してならなかっただろう。

環境を破壊するのは人間。だけど、環境を守ることができるのも人間。後者の可能性を高めるためには、なるべく多くの人たちに、まず地球の現状を、「不都合な」真実も含めて知ってもらわなければならない。

願わくば、この映画が、世界を変えるターニングポイントとならんことを。