苦渋の決断

稲嶺恵一沖縄県知事額賀福志郎防衛庁長官が11日午前、防衛庁で会談し、「在沖米軍再編に係る基本確認書」に合意した。というか、合意してしまった。


知事はV字型滑走路案を受け入れたわけではないと強調しているが、小泉さんと握手しているところまで撮られてしまっては、事実上の受け入れととられてもしかたがない。


なぜ、もう少し粘れなかったのか?


11月には県知事選挙がある。9月には小泉首相も任期が切れる。


僕は、知事選までは具体的な動きはないだろうと楽観的に考えていた。甘かった。そもそも沖縄県の主張はことごとく拒絶され、無視されてきたのだ。知事選で県民の意思を問う必要なんて、政府にあるはずがなかったのだ。無視すればいいのだから。


それでも知事には、粘ってほしかった。粘れなかったのにはそれなりの理由があるのだろう。それは主に、経済振興策にあるのだと思われる。それがたとえ、サトウキビからエタノールをつくりだし、燃料として車を走らせるための特区を設定するなどという、なんとも的外れな振興策でしかなかったとしても。


それにしても、仕方ないこととはいえ、「事実上の合意」という報道が多いのは気になる。それがたとえ今回の合意の本質をとらえているものだとしても、「V字型案を受け入れたわけではない」と知事がいっている以上は、そちらも踏まえた報道をするべきではないだろうか?タイムスや新報が「事実上の合意」だというとき、それは知事への批判であるが、全国紙がそのように報道することは、合意を既成事実化する方向で働くだけであり、それは政府を利する以外のなにものでもない。


とにかく、知事が「V字型案を受け入れたわけではない」といっていることを最大限に利用していくほかないだろう。知事を批判するだけでは、問題は解決しないどころか、それこそ政府の思うつぼなのだから。心情的にはなかなか難しいものはあるのだけれど・・・