116

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昨年の今日、尼崎で発生した脱線事故で犠牲になった乗客の数である。今日の式典では116本のろうそくが灯された。


しかしこの事故で亡くなった人は117人いる。最後の1人は、運転手だ。


彼のろうそくは灯されなかった。
そのことを「かわいそうだ」というのはたやすい。

しかし、犠牲者やその遺族にとって、彼は自らの命を、大切な人の命を奪った人間だ。彼のろうそくを灯すことは美談であるかもしれないが、そうしなかったからといって誰が遺族を責められるだろう。


たやすく「かわいそう」などと口に出さない慎重さを、常にもちつづけていたい。