美しい流れ?

いま公開中の映画、「博士の愛した数式」。僕は本で読んだのだけれど、なかなかの名作です。どの本屋でも平積みになっているので、目にした人も多いと思います。

博士の愛した数式

博士の愛した数式

事故により、80分しか記憶をもたせることのできなくなってしまった老数学者と、そこに通うシングルマザーの家政婦、そしてその小学生の息子とが織り成す物語。この物語で重要な役割を果たしているのが、タイトルにもはいっている「数式」。そのことにちなんで、作者の小川洋子さんが、数学者の藤原正彦先生と対談したものをまとめた「世にも美しい数学入門」という新書が出ています。

世にも美しい数学入門 (ちくまプリマー新書)

世にも美しい数学入門 (ちくまプリマー新書)

この本については、本ブログをはじめた当初に書いています。

http://d.hatena.ne.jp/hirokuma/20050429


藤原正彦先生の、数学に対する愛情あふれる様子に、数学者というのはロマンチストなんだなと思っていたのですが、最近、この藤原先生に関するびっくりの事実を知りました。


「世にも美しい数学入門」の藤原正彦は、「国家の品格」の藤原正彦と同一人物だったのです。

国家の品格 (新潮新書)

国家の品格 (新潮新書)

国家の品格」という本、最近「国家の」とか「国民の」などといった言葉が頭についた本と同様、右の香り漂う本。要するに女系天皇反対の本です。


あの、ロマンチックな数学者が、なぜにそんな本を!?


ちなみに女性天皇女系天皇は違います。女性天皇は、女性が天皇になった場合の総称ですが、女系天皇は、母方が天皇の血を引く天皇のことであり、男女両方ありえます。つまり、愛子ちゃん(敬称がわからないのですが・・・)が天皇になった場合は男系の女性天皇なのですが、愛子ちゃんと他の誰かとの間に生まれた子供が天皇になった場合は、女系天皇となるようです。


で、藤原先生はこの「女系」天皇に反対しておるようです。これまで一人たりとも出たことのなかった女系天皇を認めることは、国家の品格を損なうことである、というのがその主な理由のようです。「ようです」ばかりなのは、この本をちゃんと読んでないからなのですが・・・


この話を、相棒にしてみたところ、彼女はしばらく考え込んだあと、「それ、わかる気がする」とつぶやきました。彼女曰く、女系天皇を認めると、天皇家の系統が美しくなくなるから、藤原先生は反対してるんじゃないかと。


女系天皇を認めるということは、ずーっと一筋の男系で続いてきた天皇家家系図に、まったく別の男系が入り込んでしまうことになる。そうなると、入ってきた男系の後ろ(前か?)につらなる「どこの馬の骨ともしれない」系統が、入り込んでしまうわけです。


うん、これはたしかに美しくないのかもしれない。


天皇制うんぬんについては正直なところ真剣に考えたことはないのですが、藤原先生が女系天皇に反対する理由だけは、なんとなく納得してしまったのでした。