授業終了!

本日は東洋大学での非常勤の最終日。まだレポート採点は残っていますが、なんとか一年間の講義をやり通すことができ、ひとまずほっとしております。


自分にとって、大学で大学生に教えることは、この東洋大での「環境社会学」が初めてでした。例年150人くらいの学生が登録しているとの話だったので、いきなりの大講義で大変だなと思っていたのですが、ふたを開けてみたらその倍以上の登録となってしまい、これはほんとにえらいことになったと、はじめの頃は内心びびってました。もちろんそんなそぶりはチラリとも見せないようにしていましたが。


講義で気をつけていたのは、どうすれば学生にいいたいことを伝えられるかということ。


伝えるためには、学生との双方向的なコミュニケーションが必要なのですが、マスプロ講義なので、どうしても学生とのコミュニケーションは一方通行になりがち。
そこで、なるべくそれを解消するべく、毎回の出席票の裏に書いてもらった感想の一部に対するレスを、次の講義の冒頭にするようにしていました。それがどれくらい、コミュニケーション不足を補っていたかはわかりませんが。


また、レジュメにたくさんの情報をいれこみ、黒板の板書はほとんどしないというスタイルをとりました。これは、板書自体がたいへんだという理由もあるのですが、それよりも、レジュメさえ読めば授業を聞いていなくてもだいたいのことはわかる、というふうにしたかったからです。夜間部なので、仕事でどうしても出席できないという学生もいるだろうし。もっとも、「自分で書き込むようなプリントのほうが学生が真剣に授業を聞くのでは」という意見もありました。これはこれで、参考になる意見でした。


あと、なるべく毎回、20〜30分程度の環境関係の映像をみせるようにしていました。これにはいくつかの理由があります。

第一は映像のもつ情報量。百聞は一見にしかずという言葉どおり、言葉だけではどうしても伝えきれないものを、映像はいとも簡単に伝えてくれます。もちろん言葉が映像に劣るということをいいたいのではなく、映像と言葉がセットになることによって、より明確に言いたいことが伝わるということなのです。何人かの学生が、「授業内容と関係のある映像をみて理解が深まった」「映像についての解説があったのがよかった」と感想に書いてくれたのを見て、このやり方でいいのだと確信しました。

第二は学生の集中力の問題。僕自身、大学で90分間ずっとだまって講義をきくということがとても苦手だったので、90分間しゃべりっぱなしの授業は避けたいなと思っていました。僕がしゃべっている間は寝ていて、映像を流し出すと起き出す学生をみたときにはちょっとへこみましたが(苦笑)

第三は自分の省力のため。毎回、90分しゃべるための準備をするのは、相当にたいへんです。それに90分しゃべりつづけたとしても、その内容をすべて学生が聞いてくれるわけではないのだから、だったらしゃべるのを短くして、映像に補足してもらったほうが、集中力は持続するし、理解も深まるし、僕も楽。幸い、環境関係の映像はたくさんあるので、題材には事欠かなかったし(それにしてもHDDプレーヤーってほんとに便利。環境系を中心に集めた映像は、DVD9枚になりました。1枚4時間は入るので、約36時間分の映像をストックできた計算になります。去年の“ベスト・オブ・お買い物”は間違いなくコイツ!)。


毎回映像を見せたことは、おおむね学生のみなさんにとっても好評だったようで、今日かいてもらった「一年を通しての感想」でも、ほとんどの学生が「映像がみられてよかった」と書いてくれていました。普段いそがしくてテレビを見る暇がないのでよかった、なんていう、夜間部ならではの意見もありましたし。



最後の最後でばらしたのですが、東洋大での講義は05年度限定でした。一年限りの講義でしたが、いい大学で、いい学生たちに出会うことができ、非常勤講師としての最初の一歩をひじょうにいい形で踏み出すことができました。


一年間授業を聞いてくれた学生のみなさん、ありがとうございました。またどこかでお会いしましょう!