ウェーバー、FA、選手の権利

巨人が大学生・社会人ドラフト(18日)で横浜入りを希望する新日本石油栂野雅史投手(21)を3巡目で強行指名する方針が15日、明らかになった。横浜は“報復”として巨人入りを希望する早大越智大祐投手(22)の逆強行指名も視野に入れており、新ドラフト制度は期せずして両球団の“全面戦争”へと発展する可能性が出てきた。

 ウェーバー方式を有効利用して何が悪いというのか−。今季リーグ5位に低迷した巨人が、投手陣再建のために出した究極の答え。それが、栂野の強行指名だった・・・

http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=sports&d=20051116&a=20051116-00000018-sanspo-spo

ウェーバー方式とは、ドラフト会議で選手を指名する際、ペナント下位の球団から優先的に欲しい選手を指名する方式のこと。つまり、弱かったチームから優先的に、希望選手を指名できる制度だ。

今年度から新しく導入されたのだけれど、高校生と社会人・大学生とでは方式が違っていて(この2つを分けたのも新しいのだけど)
高校生ドラフトでは1巡目がクジ引きの『入札抽選』方式で、それ以降がウェーバー方式、
社会人・大学生ドラフトでは、チームと選手、お互いの合意のもとに独占的に指名できる『希望選手枠』が1名(一巡目に相当)、それ以降がウェーバー方式である。

なんでそういう方式になったのか?それは、不均衡なチームバランスを改善するため。
これまでは『希望選手枠』(去年までは『自由獲得枠』とよばれていたが)で2人をとることができたのだけれど、そこでとるためには契約金の上限である1億円を準備しなければならないことは、暗黙の了解になっていた。
つまり、2億円、新人選手の契約金につかっても他の選手を養い、別の選手も獲得できるだけの十分な資力のあるチームに、毎年2人の優秀な新人選手が入団している一方で、そこまでの余裕のないチームは、お金持ち球団にみすみす優秀な新人を奪われ、ジリ貧になっていくという構図があったわけだ。

それを改善しようとして、今回のウェーバー方式導入になったわけである。

で、その制度を利用して、今シーズンぼろかすに負けまくった巨人が、横浜にいきたがっている選手を先取りしようとしており、それに腹を立てた横浜が、じゃあ巨人さんと相思相愛の選手をうちがとらせてもらいます、というのが、この記事である。

まあ、正当に制度を利用しているといえばいるのだけれど、巨人のようなチームが金を積んで優秀な選手を集めまくってという状況を改善するために導入したウェーバー方式が、こんな形でつかわれるというのはなんとも皮肉な話である。
自分達のお金の使い方が悪かった結果、さんざんな成績しか残せなかった巨人が、「僕たち弱いんだから弱者の権利を行使させてもらうよ!」っていうのは、なんというかプライドなさすぎ。そんなことでジャイアンツ愛など育つのだろうかと、いぶかしんでしまう。

そもそも、ウェーバー方式がうまくいくためには、一定の期間チームで働いたら、自由に自分のいきたいところにいっていいよというFA制度の充実が不可欠なわけで、そのことがわかっていれば、ウェーバー方式ではじめは希望のところにいけなくてもがんばれるわけですよ。

でも、最近のメジャー挑戦に関する報道をみていると、FA取得前の選手に対してはともかくとして、取得した選手に対しても「チームにのこってくれよう」的なお願いが多くって、しかもそれでもメジャーいくなんて恩知らず的なスタンスも垣間見られ、とにかく選手たちからしてみれば、チーム選択の自由度に対する信頼感は、かなり低いのではないかと思われる。

こんな状態では、もうはじめっからメジャーいったほうがまし、あっちはFAの権利、きっちり保障されてるし、ってな気持ちになる優秀な選手がたくさんでてきて、ますます日本のプロ野球は空洞化し、低迷するのではないだろうか?

その辺の長期的な視点、ちゃんと持ってる人いるのかねぇ・・・村上ファンドによる阪神株上場要請だって、ファンが株式をもつことで経営危機になったチームを支えることができるようになるかも、という点においてはメリットもあるのに、そのへんのことをちゃんと考えずに、感情的になってるばっかなんじゃねえの?



松井さんヤンキース残留、おめでとう!さっさと巨人でていってよかったねっ!!