選挙の結果について(改)

自動車を運転することのある人なら、サイドブレーキをかけたままで運転してしまったことが一度くらいはあるのではないだろうか。

サイドブレーキをかけたままだから、当然ながらスムーズには動かない。でも、まったく動かないわけではないので、しばらく気づかずに運転してしまう。そして、違和感を感じ、はたと気がつき、サイドブレーキをおろす。

このところの日本の政治は、サイドブレーキをかけたまま運転していたのではないかとおもう。自民党という車の運転手は小泉首相サイドブレーキは亀井や綿貫といった抵抗勢力。そして民主党が10メートルごとに赤信号を灯す。

こういう状況に違和感を感じた小泉首相は、まずサイドブレーキを取り外すという大胆な行動にでた。次に赤信号の数を減らしてくれないと運転がしにくいのだと、国民にうったえた。そして国民は、サイドブレーキをはずしたことを評価し、赤信号の数を減らすことに同意し、運転手にハンドルを預けた、というより、とりあえず預けてみた・・・というのが、今回の選挙の結果だったように思う。とにかく、国民の多くは、動かしてほしかったのではないだろうか。

これからは、預けっぱなしにしないように心がけることが重要だ。

これから日本の政治はよりスムーズに動き出すだろう。これまで動かしにくかったぶん、遅れをとりもどすかのように、自由を楽しむかのように、運転手は「改革」と名づけられたアクセルをふみ、黄色信号をみたらつっこみ、赤信号さえ無視してしまうかもしれない。

そんな運転手のブレーキは、国民ひとりひとり。でもこれまで国民は、ブレーキとしての役割を果たしてこなかった。

これまで小泉首相は、都合の悪いことについては「しゃべらない」という戦略をとりつづけてこれたのは、この国の国民がブレーキの役割を果たしていない、果たすつもりもないのだということをよくしっていたから。よけいなことをしゃべって言質をとられさえしなければ、マスコミも、国民も、自分を窮地に落としこめるようなことはしない。だから、自分が話したいことしか話さないし、それでやってこられたのである。

与党が衆議院の3分の2以上を占める結果となった今、政治は「関心ないから」ではすまされなくなってきた。ブレーキとして政治に関わることが真に要請されている。

競馬の着順をみるようにしてテレビにかじりついているだけでは、政治に関心をもったとはいえない。ブレーキにはならない。小泉首相にハンドルをあずけたいまこそ、ちゃんと政治を監視する必要性は、大きく高まったのである。