♪二酸化炭素をはきだして あの娘が呼吸をしているよ

昨日は午後から大学にいった。家を出る前にNHKをみていたら、東京駅で地球にやさしい車の運転−エコドライブ−の展示をやっているというニュースをみた。大学にいく途中に乗換えで利用する駅なので、ちょっとよってみることにした。

いってみて、すぐに目に飛び込んできた言葉

東京外かく環状道路が開通すれば、CO2が削減されます。

ああ、そうか。この展示は、圏央道の開通を促進したい政府機関の差し金だったのか。

この環状道路を完成させるためには、高尾山にトンネルを通さなければならないのだが、そうすることによって自然が破壊されることを危惧する住民たち(たとえばhttp://www.asahi-net.or.jp/~ds2y-ari/)が、建設反対運動を展開しており、なかなか開通の目処がたたずにいる。

そこで、どうしても道路をつくりたい国土交通省の機関、東京外かく環状道路調査事務所(http://www.ktr.mlit.go.jp/gaikan/home/top.html)が、環状道路の開通→渋滞の緩和→CO2削減→地球温暖化問題の解決! という絵図をかいて、ひろく一般の人たちにアピールした、ということなのだ。

なるほどなぁ、と思いながら展示をみていたら、熱心な人だと思われたのか、スタッフが近づいてきて、アンケートにこたえてくれと頼まれる。どんなアンケートかとおもって引き受けてみた。

質問は4つ程度。どこでこの展示を知ったかとか、CO2削減のためにはどういうことを心がけようと思っているか、などという、まあどうでもいい質問が続いた後、最後に

東京外かく環状道路についてどう思いますか?

とあった。選択肢は5つ。チェック可能なのは1つだけ。つらつらと読んでみたのだけれど、「渋滞が解消してよい」とか、「CO2削減につながってよい」など、要するに「開通したらプラスになるよ」という選択肢しかなかった。そこには、「自然を破壊することになるから反対」という選択肢はなかった。

いやあ、こわいなあ、ほんとに。

「CO2削減」が、錦の御旗になっている。開発の大義名分になっているのだ。

たしかにCO2を削減することは重要だ。ただし、それが地球温暖化の抑止につながるかどうかについては、疑問もある。というのも、地球温暖化に寄与する「温室効果ガス」は、何も二酸化炭素だけではないからだ。特に日本の場合だと、火山活動によって排出される二酸化硫黄(これも温室効果ガス)のほうが、圧倒的に多い。だから、二酸化炭素排出量の削減が、すぐさま地球温暖化の抑止につながるわけではないのだ。

もちろん、二酸化炭素温室効果ガスであることには変わりはないし、二酸化炭素の排出量を減らすためには、石油消費量を減らしたり、リサイクルをすすめたり、緑地を増やしたりしなければならず、それは地球環境の保全につながるので、そのこと自体は進めていった方がよい。

けれど、あまりにも「二酸化炭素削減」という言葉のプラスイメージが独り歩きしているように感じる。だから、「二酸化炭素削減につながる環状道路をつくりましょう」とか「二酸化炭素排出量の少ない原発の建設を促進しましょう」という言説がなりたってしまったりするわけですよ。

いやあ、こわいねえ。