風味絶佳

風味絶佳

風味絶佳

ひさびさに山田詠美の本を手に取った。何年ぶりだろう。別に、あえて読まくなったわけではない。単に機会がなかっただけ。でも、本というのは出会いなので、ここ数年読まなかったということは、ここ数年山田詠美さんとは波長があわなかったのだろう。

で、ひさびさに読んでみたのがこの『風味絶佳』。6つの小編からなる短編集だ。

それぞれに、とび職、ゴミ収集業、ガソリンスタンド店員、火葬場の職員などといった、体を使う、体が汚れる仕事についている男性が登場し、それぞれをめぐる恋愛というか、人に対する愛情というか、そういうもののすばらしさ、歪(いびつ)さ、わずらわしさ、せつなさ、かけがえのなさ、わずらわしさ・・・ひらたくいえば、複雑さが、1つ1つ、丁寧に描かれている。

こういうことを書く人だったっけ?と思ったのが第一印象。で、こういうことを書いてきたよな、というのが、読み終えたあとの感想。

この数年間、出会わなかった山田詠美さんの本たちを、読んでみたくなってきた。