沖縄 よみがえる戦場〜読谷村民2500人が語る地上戦〜

6月18日に放送されたNHKスペシャル「沖縄 よみがえる戦場〜読谷村民2500人が語る地上戦〜」は、かなり良質な、そしておもいきった番組だったと思う。


読谷村の海岸から米軍が上陸したことに始まる日本唯一の地上戦沖縄戦。この沖縄戦がはじまったとき、読谷村をはじめとする沖縄本島各地で、米兵に殺されるくらいなら自ら死のうと考えた住民が、集団自決を実行した。そのときに生き残った方の証言など、さまざまな戦時中の証言を2500人の方達から集めて編まれたのが、『読谷村史・戦時記録(上・下)』である。番組では、この史料をもとに、証言してくれた人たちを再訪し、あらたに証言してもらった映像で構成されていた。


その中でも特に印象的だったのが、ある地域でおこった、日本兵による沖縄県民の虐殺事件である。


集団自決を避け、捕虜になった住民は、聞いていたのとは異なる米軍の優しい(という言葉は適当ではないのだが・・・)対応に驚きながらも、なんとか生きながらえることのできた命を守ることに専念していた。その収容先に、ある日の夜中、日本兵が夜襲をかけたのである。理由は「スパイ容疑」・・・


この襲撃で、多くの沖縄県民が命を落とす。自分たちを助けてくれると信じて「友軍」と呼んでいた日本兵によって。


なぜこのような悲劇がおこってしまったのだろうかと思う。日本兵が悪かった、といってすむことではないだろう。やはり戦争という異常な事態が引き起こした悲劇というほかない。平時であれば、このようなことがおこるとは考えにくい。


今、日本で生きている私たちが考えなければならないことは何か。戦争とは、人間を破壊するものだということを、何度も何度も何度も繰り返し確認することだろう。いかに大儀があろうとも、いかなる理由によるものだとしても、戦争は人間を破壊してしまうのである。住民を虐殺した日本兵は、米兵から食料を分け与えられているのをみて、嫉妬しただけなのかもしれない。誰かをねたましく思う気持ちなんて、日常茶飯事。けれどそれが戦時だと、大量虐殺になってしまうのである。


6月23日・・・沖縄、慰霊の日。