名護市が受け入れ撤回?

辺野古の浜

政権交代後、再び(三たび?四たび?)アジェンダとなった普天間基地移設問題。


鳩山政権のいろんな人たちがいろんな意見を勝手に発言している感じで、どの情報が注目に値する情報なのかが皆目わからないといった状況にあります。
観測気球的にマスコミに情報をリークしているという感じもないので、実際に政権内でも意見がまとまっていないのでしょう。


沖縄県としても対応に苦慮しているようで、仲井間知事もどう反応すればいいのか様子見しているようです。
「県外移設がベスト」といっておきながら、「一日も早い危険性除去の観点に立つと県内はやむなし」という仲井間知事のスタンスは、どうにもわかりにくいんですけどね。
普天間周辺の危険性を除去して、辺野古に危険性を押しつけてもいいというふうにしか聞こえません。
県民を代表する存在である県知事ですから、ベターな選択とも言い難いでしょう。
ましてや米軍は、普天間代替施設が完成するまでは現行の基地を使い続けるといっているわけですから、宜野湾市民の「危険性」が除去されるのはずいぶんと先の話です。
しかも代替施設ができたあと、ほんとに米軍が現行の普天間基地を手放すとも限らないし。


そういうなか、ちょっと驚きのニュースがYahoo!のトピックスにあがっていました。

普天間移設受け入れ、名護市が撤回を検討

米軍普天間飛行場の移設問題で、沖縄・名護市は、キャンプ・シュワブ沿岸部(同市辺野古地区)への移設を受け入れるとした市の決定を撤回する方向で検討に入った。

名護市幹部らが明らかにした。2日に開かれる同市幹部会で意見を集約する。鳩山政権が辺野古への移設案を進展させない場合には、政府に対し、同飛行場の代替基地の受け入れ表明を撤回したいと申し出るという。

今回の検討に至った理由について、名護市幹部らは〈1〉普天間飛行場の危険性を取り除くため、市は苦渋の選択をしてきた〈2〉移設問題が争点となった過去3回の市長選は、いずれも受け入れを表明した候補者が勝利してきた――などを挙げ、こうした過去の経緯を無視し、県外移設や嘉手納基地への統合案を表明する鳩山政権への不信感を示す。

政権交代後、普天間飛行場の移設を巡って、外相や防衛相など閣僚の発言は食い違い、鳩山首相は「来年1月の名護市長選の結果を踏まえたい」と発言するなど、閣内の調整不足が浮き彫りとなっている。

このため同市幹部は「自分たちの努力は何だったのか。これ以上、振り回されたくない。辺野古への移設計画自体を返上したい」と話し、すでに、市幹部は撤回を申し出る方向でまとまっているという。

(後略 全文は http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091101-OYT1T00092.htm


見出しだけをみたときは「ついに!」とも思いましたが、中身をよく読んでみるとそうでもなさそうです。

ひっかかるのは、もちろん、「鳩山政権が辺野古への移設案を進展させない場合には」という部分です。


その後に書かれている、撤回検討の理由のところで「これまで市長選挙では普天間代替施設の受け入れを表明した候補者が勝利してきた」といっているのは、実は墓穴を掘っているところがあって、というのも、少なくとも現在の島袋市長は選挙公約において「修正しないと」という条件はついていたとはいえ基地受け入れに反対するといっていたんですよね。


まあそれは置いておくとして(島袋氏が受け入れの立場に立っていることはみんな知ってることでしたからね)、今回の名護市幹部会の本音は、
「これまで受け入れに向けて国と協力しながらやってきたのに、いまさら県外移設とか嘉手納統合はねーだろ」
というところでしょう。

要するに、「これ以上勝手なことばっかりいってると受け入れを拒絶するぞ」という脅しの意味があるんじゃないかなというのが私見です。
まあこれくらいのカードは切らないと、本当にいいようにやられてしまいますからね。
その気持ちは理解できます。
辺野古も「いつでも反対にまわる」って言い続けてますし。


当初の計画であった沖合案が合意されてすぐの2002年8月に、名護市議会の軍事基地等対策特別委員会で、政府、県、市に対し、基本計画合意の白紙撤回を求める意見書案を臨時議会に上程することを全会一致で決定し、政府の圧力によって上程されないままポシャってしまったことがありましたが、そのときはおそらく本気で撤回を申し入れようとしていたのだと思います。
それと今回の話とは、基本的に別物だということです。


ともかく、今後いったいどうなることか、流れがぜんぜん読めません。
こんな状況に13年もさらされ続けてきた沖縄の、特に辺野古の人たちの苦衷はいかばかりかと。
今後、普天間がどうなろうとも、辺野古が受けた苦しみは残り続けてしまいます。
それこそがこの問題における最大の問題性なのです。