「聞くこと」の裏側

ヒラリー・クリントン国務長官が来日している。

大学生にあったり、拉致被害者家族にあったり、首相にあったり、小沢さんにあったりと、分刻みで動いているようだ。
フジテレビ系のNews Japanによれば、今回の「旅」(←ほんとにそういってたんです)のテーマは「聞くこと」なのだそうだが、
彼女がただ話を聞きに来たわけではないということは、火を見るよりも明らかである。


こちらではあまり大きく報道されていないのだが、実は今回の来日で、ヒラリーさんは普天間基地移設問題に大きく影響する、こんな協定に署名している。

海兵隊移転協定に署名 普天間移設を推進/日米外相 米軍再編の方針確認


要するに、普天間移設を含む米軍再編計画について、これまで日米両国で決めたとおりに進めていくんだぞというダメ押しである。
小沢さんに会ってきたのも、政権交代があったからといって反故にするんじゃないわよという牽制だろう。
当初、小沢さんはヒラリー氏に会わないといっていたが、それはおそらく、アメリカ側からの牽制を避けるためだったのではないかと思う。
結局、会わざるを得なくなってしまったのだけれど。


今回の協定では、日本側の資金拠出について具体的な数字が示された。
28億ドル。1ドル92円の円高レートで換算しても2,576億円だ。
これはいちおう上限だとされているが、実際にはもっとカネを出すハメになるだろう。
もっとカネを引き出されることになる可能性は、これまでの歴史と、現在のアメリカの財政状況に鑑みれば、限りなく高いといわざるを得ない。


今の日本のいったいどこに、こんなカネを出す余裕があるんだ?


この財政支出について、きちっと報道しないのは、マスコミの怠慢である。
たとえどこかから圧力がかかっていたとしても、である。


この財政支出は果たして妥当なのか?国防のための必要経費か?税金の無駄遣いじゃないのか?

いろんな考え方があるだろう。
その「いろんな考え」を出し合い、議論することが肝要だ。
そのためには、まずはこの協定への同意について、報道がなされなくてはならない。


普天間の移設(実質的には老朽化が進んでいる普天間をつぶし、新しい基地を辺野古沖につくるという基地の新設)が同意にいたったときの大統領は、クリントンであった。
ということは、妻ヒラリーによる今回の協定締結は、世紀を跨いだ夫婦の共同作業である。


こんな共同作業など、見たくはなかった。