離党の真意は・・・

まず最初に意見表明をしておくと、僕は定額給付金など絶対に配ってほしくはない。
もらってもちっともうれしくないし、もらったぶんだけ人々がお金をつかうとはとうてい思えない。
もちろん景気対策になんてなるわけがない。
そんなことにお金をつかうのなら、ただでさえ貧弱な社会保障制度やセーフティーネットの拡充などにつかってほしい。
もし、景気対策をしたいのなら、「お金持ちはもっとお金をつかいましょう」キャンペーンをやったほうがまだマシだろう。
不景気だ節約だ買い控えだと騒ぎ立てるマスコミだって、そういうネタを政府がふりまけばすぐに飛びつくだろうし。


なので、定額給付金に反対し、給付をやめなければ離党するといっている渡辺善美議員*1の主張には、基本的には共感している。

彼は自民党員である以前に、有権者によって選ばれた国会議員なのだから、所属政党の政策が有権者にとって不利益だと思えば、その旨を党に対して主張することもなんら問題はない。
もっとも、彼が自民党員だから投票したのだという有権者もいるだろうけど。


でも、やり方についてはまったく共感しない。

「給付しなければ離党する」という対決姿勢をとれば、自民党としては折れようがない。
給付をやめたら、それは渡辺議員に屈したことになってしまうからだ。
自民党としては、それは飲めない選択肢だ。
なので、自民党は「給付しない」と余計にいいづらくなってしまった。


こうなると、渡辺議員は離党するよりほか選択肢がなくなる。実際連休明けには離党するようだ。

そう考えると、渡辺議員は結局のところ、うまく離党したかっただけなんじゃないだろうかと勘ぐらざるを得ない。
改革者としてのイメージを国民に植え付けた上で、自民党という泥船からさっさと逃げ出す。
なかなかにしたたかな戦略である。
したたかではあるが、結局のところ彼は、定額給付金の「給付」という負の遺産を古巣の自民党におしつけ、跡を濁しまくって離脱することになる。
しかもその負の遺産は、国民に降りかかってくるのである。

これもまた茶番である。



世の中では渡辺議員に対する評価は高まってきているようだ。
例えばYahoo!みんなの政治でも、ここ数日は高評価を下す人が多い。
父親である渡辺美智雄氏を思いおこしているひともいる。

そう単純な話ではないと思うのだが、しかしこう書いている自分も、心のどこかでは「彼が真の改革者であってほしい」という願望を抱いていることは、やはり否定できない。


とりあえず、彼の今後の行動を注視していくことにしよう。

*1:衆議院の解散も求めていることはもちろん知ってます