be a creator

録画してあった「プロフェッショナル 仕事の流儀 映画を創る〜宮崎駿・創作の秘密〜」を見た。

宮崎監督が、新作のアニメを創り出そうとするその過程を密着取材したという、宮崎ファンならずとも気になる内容。僕も、ファンとは言えないまでも、「好きな映画は?」と問われれば、『天空の城ラピュタ』と答えることもしばしば。

番組では、宮崎監督が悩みながら映画を創り出していく様子が紹介されていく。こういうときよく出てくるのが「監督でも悩むんですね」という言葉。茂木さんもそういうふうなことをしゃべっていたけれど、僕は、それは当たり前だと思っている。機械じゃないんだから、システマティックに物語が造り出されるはずがないし、機械じゃないから、物語は創り出されるのだと思う。

その苦悩の中で、何が生み出されるのか。何かを生み出すときの思考のベクトルはどこに向いているのか。ベクトルを生み出す力はどこから生み出されるのか。そこにこそ、ある1人のクリエイターによる創造の過程を描き出す意味はある。

その苦悩は、論文を書くという行為にも通じている。だから、宮崎監督の苦悩は、僕たちにとっての苦悩であり、そして上質の参考資料である。

印象的な言葉はいくつもいくつもあったのだけれど、敢えて1つあげるとすれば、以下のようなフレーズ。

「形にすると、ああこれで始まるんだなって安心するでしょ。形にするまでは、始められるんだろうかって焦る。それが力になる」

論文の大枠を形にするまでの焦りは、自分にとってすごく嫌な感情だったので。

取材したディレクターの取材ノートもおもしろいので、興味のある方は是非。フィールドワークを行う者としては、我が身を振り返させられる、痛々しい番組でもありました(^^;)