名古屋旅行記その2

前回のつづき

名古屋城の次はトヨタテクノミュージアム 産業技術記念館へ。


ここは、トヨタグループ13社が共同して、旧豊田紡織本社工場跡に残されていた建物を移築していかしながら、トヨタグループの歴史を展示した博物館のようなところ。豊田紡織で使われていた自動織機や自動車製造のためのプレス機、塗装マシーンなどの展示・実演がなされているほか、自動車の製造過程が順繰りに展示されていたり、あるいは愛・地球博トヨタ館で展示されていたパートナーロボットによるトランペット演奏が実演されるなど、盛りだくさんの施設。閉館1時間前に入館だったためあまりゆっくり見学できなかったのが残念。


この産業技術記念館を含め、東海地域では「産業観光」という観光スタイルを提示している。産業観光とは、以下のような意味でつかわれているもよう。

産業観光とは産業活動やその歴史を「観光」という視点でとらえ、
日頃利用している商品や製品を作る施設、その生産工程の見学や体験をしたり、その歴史を学ぶことにより、
「ものづくり」を通して、人間の築き上げてきた産業文化への感動や共感を味わうこと。


つまり、産業を「ものづくり」という視点から捉えることで、観光の対象にしたてあげているわけだ。このところ「大人の社会科見学」なんてものもはやっているようですが、それを観光という言葉におきかえているのだといってもいいかもしれません。


そういう視点でつくられているので、この産業技術記念館も、「ものづくり」を強調した展示になってます。そこには、「ものづくり」の負の側面である公害をはじめとする環境破壊については、当然のことながら何にも触れられておりません。


環境への配慮という「コスト」を支払わずに高度経済成長をひた走り、その結果、水俣病をはじめとする公害病をうみだし、「公害大国日本」という呼称まで生まれた60年代、その反省からさまざまな環境規制がとられ、しかしそれが石油ショックとそれに伴う不況によって換骨奪胎されていく70年代、そして地球環境問題への関心が高まっていくなか、大量生産・大量消費への反省とエコロジーブームがはじまる80年代以降と、産業と環境は常に関連付けられながら、なんとかお互いに折り合いをつけようという方向に進んできたように思います。

この産業観光という試みにおいても、そうした産業と環境の共存に関する理念や技術の提示はおそらくなされているでしょう。しかし全体としては、産業の歴史をプロジェクトXばりに称揚することで、いま現在「景気がいい」ともてはやされている名古屋・東海地域のイメージを、ポジティブに確立しようという意図がまさっているように思います。そしてそれは、長引く不況を抜け出しつつあるという上向きな気分にのって、「やっぱり産業だ」「結局は経済だ」という結論へと、見るものを容易に導いていくわけです。


そんなことを考えながら、記念館をあとにしました。


夕方に名古屋駅のほうまでもどり、エキチカで名古屋嬢グッズを買い求めたのち、夜は山本屋本店にて本場の味噌煮込みうどんを食べました。いやあ、やっぱり本場はうまいですね。おかわり自由のお漬物もおいしかったし。


おなかいっぱいになったところで新幹線にのりこみ、一路東京へ。ほんとは夜行バスで帰る予定だったのですが、時間が無駄にあいちゃったのと、翌日は朝から仕事だったので、おもいきって新幹線でかえってきました。


1日って、やろうとおもえばいろんなことできるんですね〜