釈然としない・・・

尼崎の脱線事故。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りします。

それにしてもなんとも後味の悪い事故だ。運転士の未熟さを責める論調もやむをえないこととは思うが、個人的にはこの国の電車事情に問題点を感じざるを得ない。

若い運転士は、前の駅でおこしたオーバーランのために生じた遅れを取り戻そうと、スピードを出しすぎたのだと思う。彼をそこまで焦らせたのは、たしかに彼自身の性格などもあるだろうけれど、そもそも１分の遅れも許されないような過密な運転スケジュールがくまれていること、そしてスケジュールどおりに動くべきだと乗客が考えていること、そのことのほうが根本的な問題であるように思われる。

あれだけの大量の人間が乗り降りする電車が、１分の狂いもなく走っていることのほうが奇跡的なのである。その奇跡が常態と化してしまった結果、JRも乗客も、過剰な期待と無言の圧力を一人の運転士に背負わせてしまっているのではないだろうか。かく言う自分も、「人身事故のため、電車に遅れが生じております」などというアナウンスをきくと、つい「チッ」などといってしまうことがよくあるのだけれど。

今回の事故は、JRだけでなく、その利用者である一般市民にもいろいろと反省するべき点がある。JRだけに責任を押し付けるのではなく、自分たちも「未必の加害者」であるということに思いをはせることがなければ、犠牲者の死はまったく無駄になってしまう。