【映画】選挙

日曜日、みてきました。

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地盤も看板もカバンもない、切手コイン店の経営者、山内和彦さんが、自民党の公認候補として川崎市宮前区の市議選補選に立候補したその選挙戦を、山内さんの大学時代の同窓で、ドキュメンタリー映画監督である想田和弘さんが撮ったというこの作品。

実におもしろかった。自民党の候補者を心情的にここまで応援したのは初めてw

選挙のほうは、補選ということもあり、参議院選、市長選との同時選挙ということもあり、さらには市議会の勢力図が全くの五分で、補選の結果がそのまま市議会与党を決めるという状況もあって、自民党は党をあげての支援体制。

だからこそ、政党による選挙のいびつさと滑稽さがよく現れる。

山内さんを支援する選挙のプロたちは、選挙戦の戦い方−握手の仕方、演説の仕方etc−を教えるだけで、守らなければ恫喝する。候補者の主義主張なんて全く関係なし。

知っていたこととはいえ、リアルにみせられるとさすがにゲンナリしますね。選挙なんてする必要なしとすら思えてきます。

そして特筆すべきは撮影の手法。監督が1人でカメラをまわし、一切の質問もせず、ナレーションもいれず、BGMすらつかわず、ただ山内さんの選挙戦をとり続けるという撮影手法は、何らかの事実を伝えようとして特定のストーリーに基づいた撮影をする従来のドキュメンタリー作品とは異なる、別種のリアリティがありました。

実は今回は上映後、監督と山内さん、そして田原総一朗氏の対談が行われたのですが、そこで監督は
「通り一遍の質問をしたところで、返ってくるこたえに真意が語られている保証などどこにもない。それなのにそのこたえを「真意」として伝えるようなアリバイをつくりあげるようなことはしたくなかった」
という主旨のことを語っていました。

聞き取り調査を行っている身としては、考えさせられるところの多い意見ですね。

それにしてもこの山内さん、映画でも実物を見ても、なんともとらえどころのないお方。どこに本心があるのか、さっぱりわからない。

そんな彼でも、選挙戦での一生懸命な姿を見ているうちに、だんだんと親近感が湧いてくる。一緒にたたかっていた人たちは余計にそうだったはず。

結局のところ政党による選挙戦というのは、内輪でもりあがるためだけにあるのであって、内輪がもりあがっていればその背後にいる支持者たちの支援を取り付けることができて票が伸びる、それだけのことなのかもしれん。そこで候補者がやれることは、頑張っている姿を内輪の人たちに見せることだけ。

そりゃ自民党が強いわけだよな、この国では・・・